4月・5月・6月

~~~ミルク色のコチカ~~~

奮闘記 -72-

2007年5月



すりすり〜これは僕ンだ!


* ミルク色のコチカ・トップへ *

5/3ピアノの上に登られ、海草を齧られた 5/10最近、わかってきたこと 5/11なくて七癖、コチカの癖 5/13不機嫌コチカ…ちょっとゆるゆる
5/16クロキ・ライフ・コチカ、三者三様の朝 5/21クロキと鼻ツンツン 5/292度の瞬間芸 5/31ドアの隙間にネコの目

5月1日(火)

暦どおり夫が会社に行ったパッとしない曇りの日。

コチカは今日も朝からおなかがすいていた。
人の後をついてうろうろうろうろ。
人が台所に立つと、ご飯の器の前に座り、人の顔を振り仰ぐ。
新しい毛が生えてくるわけじゃあるまいし、
なんでそうおなかが空くのだろうか。
仕方がないので、ちょっとだけよ、と言いながら、
冷蔵庫を開け、指先にちょっとだけつまんだのが4粒。
数が悪いけれど、まあいいよね、今日は大安だ、
ってわけわかりませんけれど、
今年の連休は実家にも帰らず、
従ってフェリーにも乗らず、
おなかが減るだけの安泰な連休なのかな、コチカにとっては。



 *  *  *  * 


5月2日(水)

夜中。
また発作。
今回はちょっと長く、何回か噛み付かれた。
昨日の夜は雨が降っていて外に出られなかったせいかな。

* * *

朝、また胃液をげぼげぼ。
その直後から、ご飯〜。。

夜。
私は身体がひどく疲れていたので、
ご飯をもらって外に行ける、と期待に胸を膨らませているコチカに、
ごめん・・今日外行けない、
と言ったら、
一瞬空気が止まったような風になり、
大真面目な顔つきで私をじっと見、ぁあ、と言った。
それ以来、外〜外〜、と言わなくなり、窓の外を見に行ったりした。
コチカ、わかってくれて、ありがとう。



 *  *  *  * 


5月3日(木)

<コチカにピアノの上に登られ、海草を齧られた>

昨日だったかおとといだったか。
外出先から帰宅したら、ピアノの部屋のドアが開いていた。
コチカが開けて入ってみたんだな、とは思ったけれど、
別にどうということもない、と思っていたのに。。

さっき夫が、あー!アオサ(海草の名前)の袋が齧られてる!
と被害に遭ったブツを、居間にいる私に持ってきて見せた。

あー!
ピアノの部屋は除湿機が万年かけられているので、
送られてきた海草でも他の乾物でもなんでも、
保管場所が決まるまで、ほい、と置いておいたりする。
それがいけなかったのである。

恐るべきネコの臭覚。
海の匂いを嗅ぎつけて、ピアノの部屋のドアを苦労して開け、入り、
鼻を頼りに、なんとピアノの上によじ登って……よじ登って???
ここしばらく関節炎のためにピアノなぞご無沙汰しているので、
勢い、広いピアノの上は物置と化す。
そんなわけでアオサもピアノの上に置いてあったのだ。
薄々ここならコチカも気づくまい、とは思っていたのだが。。
要するに、やられた〜、なのね。。



 *  *  *  * 


5月4日(金)

昨日のアオサをもう1回である。
なんと、5袋あったのが全部噛み噛みにされていた。。
ピアノの上に乗り、
徹底的にアオサを入れたビニール袋を次々と噛み千切り、
そして1つは落とした。
その落とされた1つを、夫が見せにきたのだった。

どうしたのだろう。
あのドアが開いていた日は、
人間二人の帰宅時間が遅く、コチカはおなかが空き過ぎていたのだろうか。
あーあ、あーあ、なのだけれど、
そんなにも放っておいた人間が悪いとしかいいようがないし、
ドアの向こうから海の匂いを嗅ぎ付けたネコの臭覚の感度の良さを讃えるべきなのだろう。

それにしても、コチカはアオサ自体を食べたのかなあ。
線維が多い食品だけれど、おなかがツーツーになったようではない。。
ただ、塩気があるのがちょっと心配。



 *  *  *  * 


5月5日(土)

夫が不在なので、私がおしっこをさせている。
膝が痛くてしゃがめないので、籐椅子を台所に出し、
コチカのお尻を支える左手を、
座って足を開いた隙間……椅子の端に置いている。
右手の指もまだかなり痛いので、
どんなに無理をしても5分の3くらいは掴み切れず、
オシッコを全部出し切ることができない。

コチカはいつものように、身体をひねって私の左上腕に手を絡ませているけれど、
夫の手に慣れた今となっては、私の不自由な手と腕はすこぶる塩梅の悪いものだろう。

こないだなど、
オシッコをさせている夫に抱かれたコチカの頭が、
思うよりも後ろにあり、顔がくしゃくしゃしている。
あれえ、と思って見ていると夫が気づいて、
コチカ、眠くなってきて頭がカクッてなるんだよね、と言った。

特にお風呂を出てからオシッコをさせるときには、
すっかり暖まった夫の大きな手があまりに気持ちよくて、
急激に眠気を誘うのかも知れないらしいのだ。

私がさせても、コチカの頭がカクッとなったことなぞついぞない。
よかったねえ、コチカ、気持ちよくって。



 *  *  *  * 


5月7日(月)

私が寝た頃には、くるりとなってお利口して寝ているのに、
丑三つ時を過ぎた頃から何度も下に下りて行っては、
ぅわぉ〜、にゃお〜、と戻ってくる。
そのたびに私は、顔などを撫ぜながら、
いいから、寝よう、ここにごろーんてしよう……などと言う。
それを5回も繰り返してみましょうよ。
もう朝、眠いのなんの。。
そしてとうとう5時ごろ、もう起きようかなと思い始めた頃に、
コチカはくるりとなって、寝てしまうのである。
それからずっと起きない。
目覚ましが鳴って人間がしぶしぶ起き出しても、まだ起きない。
そして窓を開けると、
ねえ、ちょっと寒いじゃん、という目をしょぼしょぼさせ、
次にこの新鮮な空気、いいね、と言う感じで立って、のびなぞしながら、窓辺へ行く。
そして窓際に置いてある小さな引き出しの上に座り、
しばし朝の庭の呼吸に耳を傾け、新しい空気で肺を満たすのである。
そしてその次には……
お外行こう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
である。
まったくねぇ、ネコって。。コチカって。。



 *  *  *  * 


5月8日(火)

夕方。
ウンチ〜、だというので、玄関脇にあるトイレに一緒に行った。
トイレに来たというのに、玄関にくるとコチカは外に出ようとする。
コチカ、ウンチでしょ、というと、う〜、とかいいながら、
上がりかまちに座り込み、
チャチャ、こっちおいで、という私の誘いに振り返ったりするだけ。
5回くらい声をかけたところで、私は呆れて声に力が入った。
ウンチって言ったから来たんでしょ?
しないんだったら向こう(居間)へ戻るよ。
と言ったら、すぐに通じたらしく、ぅにゃっ、と小さくいい、
しぶしぶ私の方へ来た。
そして無事ウンチ終了。

なかなか踏ん切りがつかないコチカなのである。
というのも、昨日は私が帰宅した疲れすぎていて、
外に行けなかったから……というのが根底にあると思う。
それでもコチカはすごく荒れることもなく、
なんとなく理解してくれているらしいのだ。
明日の朝の散歩はちょっと長めにするからね。



 *  *  *  * 


5月9日(水)

相変わらずクロキは、
コチカがチャコちゃんちの縁石に近づこうとすると、
すかさず飛び掛ってくるか、それとなく様子を見ている。
コチカが行こうとする先に、クロキがいたりするのは、
そのせいだろうか。


コチカを見張るクロキ


 *  *  *  * 


5月10日(木)

<最近、わかってきたこと>

最近、しばしば朝の散歩の後、
コチカをガレージのフェンスに結わえておく。
家事を終え、外出するタイミングで、
台所のご飯の器にご飯数粒とカツオブシを用意し、
コチカを迎えに行き、玄関でリードを外したら、
私はドアを閉めて出て行ってしまう。

どうやらコチカはそれが嫌いらしい。
特に、外にしばらく繋がれていた後には、
私と一緒に居間に行き、よしよししてもらって、私の足元で眠りたいのだ。
だから、私が一緒に玄関に上がるがどうか、
うにゃーん、うにゃーん、と鳴きながら
まいまいして何度も私を振り返り、不安そうにしている。

最近になってだんだんそれがわかってきて、不憫になってきた。
それでも私は出かけなければならないから、出かけていくのだけど。。

居間には籐椅子の上に、コチカ用のムートンの座布団を敷いて、
ぬくぬくと寝られるようにしてある。
寝るのにも飽きたら、階段下の棚の上か、居間の物見台から外を見られる。
ま、一旦状況に納得したら、
独自のやり方で自在に楽しむネコのことなので、いいのだけれど。
塩梅よかよか〜ってしててね、コチカ。



 *  *  *  * 


5月11日(金)

<なくて七癖、コチカの癖>

奇妙なことに、
通りを歩いていて方向転換しようとするとき、
道の反対側に渡り、それも必ず道に垂直に渡り、
道の端に着いてから、目指す方向を見据えて歩き出すのである。
前から奇妙なことするな、と思っていたけれど、
この垂直に渡るところが、なんとも面白い。
ネコなのにねえ。



 *  *  *  * 


5月13日(日)

<不機嫌コチカ…ちょっとゆるゆる>

遅くに帰宅した。
何やってたの、遅かったねえ、
とすりすりするコチカにご飯をやり、夫が散歩に連れていく。

戻ってきていつもの夜がやってきて、
コチカは居間の物見台から外を眺めていたのだけれど、
ふいに降りてきた、と思ったら、物見台の座布団にウンチをしている。
むむ。
いつものようには乾いていないウンチ。
そして脚立を降りたときについたのだろう、絨毯を汚していた。
おなかが少々ゆるいらしい。
どうして?
寒いわけはないし、変なものを食べたわけではないし。
コチカは海草を食べても、おなかはゆるくならないのだし。

それからもコチカはウンチの申告なしに、
あちこちに乾かないウンチ(リアルな言い方…すみません^^;)をしている。
滑りがよくって出てしまうのか、
それとも、もしかして何か怒ってる?
このところ一人で放っておくことが多いからかな。
それでちょっと頭に来てしまっているとか。
他に理由が思いつかないので、たぶんそういうことだろう。
明日からはちょっとコチカ孝行してみようと思う。



 *  *  *  * 


5月14日(月)

またも遅くに帰宅した私。
私自身は食事を済ませていたので、
コチカにご飯をやったら外へ連れ出そう、と思っていたのだけれど、
ご飯を食べたららしいコチカがやけにしん、としているので、
どうしたのかと思ったら、
なんと居間の私が座る籐椅子の下で寝そべっている。
あれ〜???

ここ最近、私がくたびれすぎているときなどは、
ごめんコチカ、今日は外なし・・とギヴアップをすることがしばしばあるせいか、
この時間になったら、外へは行けないもの、と決めたのかどうか、
コチカはうろうろして外〜外〜、とねだることもなく、
すっかり夜のくつろぎモードで、もう休もう、と横になってしまった……のかな。
うーん。
なんかちょっと気の毒。、
人間の具合を心配してくれてるってことなのかしらん。
ネコが?
もしも本当なら、ちょっと動物に負担掛けすぎてるんじゃ、
なんて心配になってしまう。
いいのかなあ。。



 *  *  *  * 


5月16日(水)

<クロキ・ライフ・コチカ、三者三様の朝>

朝の散歩。
割合早くに出かけるので、いつもよりかなり早めに家を出た。
チャコちゃんちの角に近づく。
チャコちゃんちの奥さんが出てくると、
クロキがうろうろと後をついて歩いてきた。

そこへライフくんと飼い主さんが、おっはよー!!!
とやってきた。
久々である。
飼い主さんのTシャツの胸に大きな太陽が描かれているのが、
朝日を浴びて金色に光り、元気一杯!な出で立ち。

ライフくんが、嬉しくってしょーがない、
とばかりじぴょこぴょこはねて近づいてきた。

チャコちゃんちの植え込みまでくると、
く〜〜〜〜〜〜〜、と高く高く細い声。
クロキが牽制しているのである。

にもかかわらず、はしゃいでいるライフくんに、
しゃーーーーー!!!っとクロキが飛び出した。
いきなりのことで、キョトンとするライフくん。
ライフくんが静まると、クロキはまたさっと植え込みの下から潜っていった。

今の何?とライフくんの飼い主さん。

このネコは母親なので気が立っていて、
このお宅の縁石の内側は縄張りだと思っているので、
ライフくんを警戒している旨を話した。

はーそういうこと。。と人間同士がふんふんと言い合っている間、
コチカは、ぅわぉ〜、わぉ〜、ん゛〜、と一人で怒った声を上げている。

今度はコチカちゃんはどしたの?と不思議そうなライフくんの飼い主さん。

きっとクロキとライフくんが、
険悪にせよ何かしらの接点を持ったことに気を悪くしているのだろうけれど、
そんな面倒な精神構造を朝から説明したくないので、さあ、と濁しておいた。
コチカって結構ややこしいネコなのだ。


ク〜ロキ〜!


 *  *  *  * 


5月18日(金)

籐椅子に座り、
膝の上に置けるだけの本や雑誌を置いて、
PCとにらめっこしながら資料を解読していた。
右足を動かしたくなってきたので、
本や雑誌ごとどっこいしょと持ち上げて、
ひょっとしてコチカがいるといけないと思いつつ、
そうっと足の置き場をつま先で探っていると、
案の定柔らかいものに触った。
これはコチカのおなかか背中か。
身体がどうなっているのか、
靴下を履いた足では今ひとつわかりづらい。
あーどうしよう、と思っていると、
ページが開き、落ちそうになっている雑誌の下から、
ぬーっと白いものが伸びてきて、
当然それはコチカなのだけれど、
大きな黒い目でじっと私の顔を見た。
なんじゃいな、とでもいいだげな目つきなのに、
しばし爆笑してしまったけれど、
ごめん、コチカ、起こして。。



 *  *  *  * 


5月21日(月)

なんだかほとんど不在にしているので、
コチカと全然顔を合わせていない。
なので書くこともないのだけれど、書いてる暇もないのだ。

* * *

朝。
気持ちのいいお天気なので、のんびりお散歩。
でも穏やかならない話を聞いた。

チェリーんちのラッキーが、伝染性の病気に罹り、
腹水が溜まるのだという。
1週間に1回は、小さなバケツに1杯、水を抜きに病院に行くのだそうだ。
ラッキーは去年の4月、アスカと大喧嘩をして大きな怪我をしたから、
そのときにいろいろ感染していたのだろうか。

チェリーんちは最近受難続きなのである。
マースくんも、昔に治ったフィラリアが血管に詰まったままで、
ときどき苦しそうに咳をするというし。

うーん。
他人事ではないのである。
みんな、頑張れ!

* * *

<クロキと鼻ツンツン>

そうそう!
今日は快挙なことがあった。
とはいえ、これでまたコチカの悩みが深くなったのではと思うのだけれど、

なんとクロキが、鼻ツンツンしてきたのだ^o^/
チャコちゃんちのガレージに止まっている車の前で、
クロキを想って佇んだまま動けなくなっているコチカに、
積極的に鼻を近づけてきたのでした。

コチカはというと、
思いがけないクロキのサービスに、
座ったままの位置で、身体をどんどん縮ませながら、
クロキの果敢な鼻ツンツンに耐えている。

かなり長々としていたけれど、
終わったら、クロキはさっさと行ってしまい、
コチカは、しばらくぼーっとしていた。
いやはや、情けないそのフ抜けた様子ったら。。

でも気をつけなくっちゃ。
クロキは左目をちゃんと開けられないでいる。
結膜炎かなにかだろう。
移ったらたいへん。



 *  *  *  * 


5月22日(火)

朝の散歩。
お天気いいのでガレージに繋いでおく。
しばらくしたら嘔吐するのが聞こえた。
外なので放っておく(笑)。

2、3日前からネコジャラシの葉が成長してきている。
コチカは目ざとく見つけて、むしゃむしゃ食べる。
今から食べちゃったら、後が続かなくなるよ、
というのだけれど、今まさに消化剤が必要な季節なので、
しかたない、というか、ちょうどいいかな。

* * *

夜の散歩。
チャコちゃんちの玄関前にクロキとウリ坊。
座ったウリ坊の曲った背中にくっつくようにクロキが丸く座っている。

コチカは先へ進めない。
ウリ坊は、クロキがどう出るのか、
ときどき振り返って、母親の顔を伺っている。
どうやら息子は、母親が出動しないと判断したかどうか、
さっきからしようしようと思っていたおなかの毛繕いを始めた。

私はコチカに、
クロキ、来てほしくないって、邪魔しないで、って、
行こ、カツオブシしよ、
と促した。

コチカは、ん〜、と不満そうな声をわずかに上げて、そろりそろりと歩き出す。
太刀打ちできないことはコチカもわかっているのよね。



 *  *  *  * 


5月23日(水)

朝の散歩。

カー子が白ちゃんのために置いてあるビーフジャーキーとか持ってっちゃうのよー、
と朝から不満げなチェリーんちの奥さん。

カー子とは、小振りなはしぼそガラスで、
白ちゃんとは、去年の夏の雷の日に家を飛び出して以来、
捜索願が出ている犬のことである。

捜索願とはいえ、毎日早朝決まった時刻に来ることはわかっているのだが、
もうすっかり流浪の民となってしまい、そうそう簡単につかまらないので、
依然として、犬のガムやら好きそうなものを置いてやっている。

そのビーフジャーキーを、カー子が持っていってしまうというのだ。
どんなにたくみに隠しても・・とはいえ、犬が見つけられるような場所だから限度があるのだけれど・・
必ず見つけ出して、持っていってしまうのだそうだ。
そんな硬くて水気のないもの、どうやってカラスが食べるのかな???

そんな話をしている間、カー子は、
チェリーんちの玄関の塀に止まり、私をしげしげと見ている。
見れば羽もきれいだし、

このカラス、まだ若いんですかねえ、と言ったら、
チェリーんちの奥さんは、そうね、5年くらいそこの音大のところにいたの、
とこともなげに即答した。

音大に5年くらい、このカラスが。。
びっくりである。
この奥さん、界隈のネコ史には通じているけれど、カラス事情にも詳しいらしい。
本当に生き物が好きなのね〜



 *  *  *  * 


5月25日(金)

夜。

物見台に行こうとしてやめ、
何かをねだるようにいいながら、私の足にすりすりする。
よしよししてほしいのかな、と思い、
コチカの歌を歌ってやると、それなりに嬉しそうな様子で、
背中をアーチ型にしてくるりと回って歩き、
私の足に頭をもたせかけて眠ってしまった。

しばらくして目が覚めたらおなかがすいたらしく、
ご飯を食べに行った。

戻ってきて、物見台に行こうとして、
脚立を見上げたけれど、またやめ、
何かをねだるようにいいながら、私の足にすりすりする。
さっきとまったく同じである。

さては?
と思い、物見台を見ると……
果たして、ウンチが一個。
ったくもう。。
コチカはそれを取り去ってほしかったのである。

ウンチは比較的、端にしてあるので、
窓から外を眺めるのに邪魔にはならない位置ではあるけれど、
それを横目で見ながら窓へ向うのがイヤだと思うのかな。

だったら、ウンチをしてしまう前に、ちゃんと言いなさい!



 *  *  *  * 


5月27日(日)

朝。

目が覚めると下に下りてきて居間にいて、
いつもの自分の場所ではなく、
夫の側でひっくり返って、DVDを見ていた。

そのうちに夫が降りてきて、
なんだか手から気が出てる、とかいいながら、
私の足に手を置いて、一緒にDVDを見出した。

するとコチカが2階から、うにゃ〜ん、うにゃ〜〜!!!、
と叫びながら降りてきた。

明らかに怒っている声である。
私は夫に、コチカに下へ行くよ、と声をかけてきた?と訊いたら、
いや、言わなかった、とのこと。
やっぱり。

朝起きて下へ来るとき、
無意識のうちにいつも、コチカ、おはよう、下行くよ、
と声をかけているので、
自分だけ黙って置いていかれたのが、気に入らなかったのだろう。

コチカは寝そべっている私のそばに、
怒った声のまま直行してきて、脇腹の横にまず座った。
そして、
1回あくびをすると、
脇腹にバタンと頭をもたせかけて横になり、
挑発的な目を私に向け、そばにある私の腕に手を乗せ爪を引っ掛けて、
もぞもぞと居住まいを正し、ほっとしたような顔をした。

落ち着いた?
何もそんなに怒ることないじゃない?

とか言いながら、身体を軽くぽんぽんすると、
コチカの目が次第にうっとりしてきた。
私もついうっとりなってくる。
だ、だめだよコチカ、もう朝だよー



 *  *  *  * 


5月29日(火)

<2度の瞬間芸>

夜の散歩。

桃の木のお宅の車の下にクロキがいるので、
コチカは緊張気味に背を低く構えながら歩いていく。
私はその後ろからついていきながら、縁石から右足を滑らせてしまった。
ざざっと音がすると、
コチカもよほど驚いたのだろう。
瞬間、しゃーっ!!!と言いながら、真上に飛び上がった。

私が、ごめん!コチカ、というと、
なんだよまったくー、という感じで、ぅ〜、と唸り、
すぐさま地面にゴロンゴロンとした。

* * *

もう玄関に入る、という段。

玄関のドアを開けるのを待っていたはずのコチカは、
ドアを開けたタイミングで、何かを見つけたのだろう。
コチカはドアすれすれに一直線に草むらの中に飛び込んでいった。
あっという間の瞬間移動で、私はびっくり仰天。

思わずリードを引き締めたので、
コチカは狙いを外したらしいのだけれど、
しばらくは草の上を、ざざざざざ、ざざざざざ、
という手つきで探ってみたりしていた。

すごいね、何を見つけたの?
そろそろヤモリの季節だからね。
今年は何回ご馳走にありつけるかな。ゾゾゾ。



 *  *  *  * 


5月31日(木)

<ドアの隙間にネコの目>

私がトイレに入っているとコチカは必ずやってきて、
開けようとしてドアを引っかく。
ガリガリあまりにうるさいので、ついに開けてやるのだけれど、
用を足している途中で立つのがイヤなので、
最初からきっちりドアを閉めないで曖昧に閉めておく。

今日は珍しくこないなと思っていると、いた、というより、来ていた。
いつものように、にゃーっ!!!と最初から物申すのではなくて、
なぜかだまったまま、ドアの隙間の向こう側に座り、
こちらを伺っている。
はっきりいってこれはノゾキである。

ドアと柱の隙間は、光が入って細くなったネコの目の幅だったので、
私が気づいたときには、
ドアの細い隙間に、ネコの細い目をはめたように見え、
その上下に白い毛が続いている。

不気味というか。
ドアの隙間にきっちりネコの目。
それでだまっているから、余計にみょーである。

私がチャチャ、と呼ぶと、にゃ〜、と声を上げた。
ようやくほっとしたけれど、
思えばもうとっくに用なんか終わっている。
いったい私は何をやっているのだろう昼間から。。



 *  *  *  * 


71 ⇔ 73